AP Physics 1ってどんな試験?

Physics 1

この記事シリーズではAPの概要や各科目で要求される内容を紹介します。本記事はPhysics 1に関してです。

なお、この記事はEffective Fall 2024に基づくもので、2026年5月の試験で有効なものです。公式な情報はCollege Boardのウエブサイトで確認してください。

AP(Advanced Placement)とは

AP(Advanced Placement Test)とは、米国のCollege Boardによって主催される試験です。約40科目が設定されており、好成績を獲得すると以下のようなメリットがあります。

(1) 英語圏大学のadmission processを有利に進めることができる
(2) 大学での単位の一部に認定してもらえることがある
(3) 大学レベルの知識があることが証明される

(1)について、米国ではSATがほぼ必須になっています。しかしSAT mathは基礎的な内容であり、世界中から優秀な志願者の集まる有名大学ではSATではほとんど差がつきません。

このとき、エッセイやinterviewで差がつき、またAPやIBなどの追加資料を提出することができれば、選考プロセスが有利になります。

(2)は大学ごとに異なりますが、大学1-2年の単位の一部をAPの試験の成績に応じて認定してもらえることがよくあります。

カバーされる内容

Physics 1は力学が中心です。また微積分は不要で、algebra basedの試験です。

1 Kinematics

選択肢式試験では全体の10-14%を占めます。日本の「等加速度運動」などの章がここに該当します。

Scalars and Vectors in One Dimension
Displacement, Velocity, and Acceleration
Representing Motion
Reference Frames and Relative Motion
Vectors and Motion in Two Dimensions

2 Force and Translational Dynamics

選択肢式試験では全体の18-22%を占めます。日本の「つり合い」や「運動方程式」「万有引力」「円運動」などの章がここに該当します。

なお、日本の円運動の章で見られる「慣性力」「遠心力」はAP Physics 1の範囲外で、円運動は円運動の運動方程式で解きます。

Systems and Center of Mass
Forces and Free-Body Diagrams
Newton’s Third Law
Newton’s First Law
Newton’s Second Law
Gravitational Force
Kinetic and Static Friction
Spring Forces
Circular Motion

3 Work, Energy, and Power

選択肢式試験では全体の18-22%を占めます。日本の「仕事と力学的エネルギー」などの章がここに該当します。

Translational Kinetic Energy
Work
Potential Energy
Conservation of Energy
Power

4 Linear Momentum

選択肢式試験では全体の12-16%を占めます。日本の「力積と運動量」などの章がここに該当します。

日本の「反発係数」は範囲外で、弾性衝突($e=1$)か完全非弾性衝突($e=0$)のみが扱われます。

Linear Momentum
Change in Momentum and Impulse
Conservation of Linear Momentum
Elastic and Inelastic Collisions

5 Torque and Rotational Dynamics

選択肢式試験では全体の10-14%を占めます。日本の「剛体のつり合い」などの章がここに該当しますが、慣性モーメントや剛体の回転運動も試験範囲に含まれておりこれは日本の高校のカリキュラムでは扱わない内容です。

Rotational Kinematics
Connecting Linear and Rotational Motion
Torque
Rotational Inertia
Rotational Equilibrium and Newton’s First Law in Rotational Form
Newton’s Second Law in Rotational Form

6 Energy and Momentum of Rotating Systems

選択肢式試験では全体の4-8%を占めます。剛体の運動で日本の高校のカリキュラムでは扱わない内容です。

剛体の回転運動の運動エネルギーや角運動量、ケプラーの法則などが含まれています。

Rotational Kinetic Energy
Torque and Work
Angular Momentum and Angular Impulse
Conservation of Angular Momentum
Rolling
Motion of Orbiting Satellites

7 Oscillations

選択肢式試験では全体の4-8%を占めます。日本の「単振動」などの章がここに該当します。

Defining Simple Harmonic Motion (SHM)
Frequency and Period of SHM
Representing and Analyzing SHM
Energy of Simple Harmonic Oscillators

8 Fluids

選択肢式試験では全体の10-14%を占めます。日本の「水圧と浮力」などの章がここに該当します。

また流体力学の初歩で「流体の連続の式」や「ベルヌーイの法則」なども含まれます。これらは日本の高校のカリキュラムには含まれていません。

なお、この章は2024年秋からPhysics 1に追加されました。2025年の試験に含まれます。

Internal Structure and Density
Pressure
Fluids and Newton’s Laws
Fluids and Conservation Laws

多肢選択式の試験

試験全体は多肢選択と自由記述が50%ずつで、各90分、合計180分の試験です。

多肢選択はほぼ4択で、45ー50問で構成されています。1問あたり2分もありませんので、スピードと正確さが要求されます。

↓試験問題のサンプルです。

自由記述式の試験

自由記述は大問4問で構成されています。大問によって配点や小問の数も違うので時間配分には気をつける必要があります。

単に計算して答を出すだけでなく、実験手順を作成して記述したりグラフや図を描くことも要求されます。

↓試験問題のサンプルです。

最近の成績データ

過去の詳細なデータはCollege Boardのウエブサイトで公表されています。

2023年の実績を見ると、Physics 1の総受験者数は全世界で159,582人、このうち最高点のスコア”5″を獲得したのは14,012人で、受験者数のわずか8.78%です。

2024年では、総受験者数が164,481人、”5″の獲得者数は16,725人で、受験者の10.2%となっています。

まとめ

Physics 1では日本の物理の力学に相当するところがほぼすべて含まれています。さらに剛体の運動流体力学の初歩なども含まれていて、これらは日本の標準的な高校物理のカリキュラムには含まれていません。

多肢選択式の問題はそれほど難しくはありません。日本の共通テストの方が難しいような感じではあります。ただし制限時間が厳しいので短時間でどんどん正解を出していく必要があります。

自由記述式の試験問題は、実験手順を自分で設計し記述するような問題や、結果を議論する考察問題も含まれています。計算して答を出すだけではなく採点基準をクリアーした記述をしなくては得点にならないので、こちらは専用に対策が必要です。

公式な情報はCollege Boardや志願先大学の公式ウエブサイトで確認してください。

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