[共テ2025本試験] 物理 第3問

物理

前半Aと後半Bに分かれています。AとBはそれぞれ小問が3つずつ設定されており、AとBとの間には関係はありません。大問が2つ含まれていると考えてください。

Aは理想気体の状態変化と熱サイクルの問題、Bは平面上に広がる波の干渉と波の式の問題です。

Aは標準的な問題なのであまり時間をかけすぎないようにしましょう。Bは問6に時間をかけるかどうかを判断することが重要です。

A

問1

A→Bの過程は体積の変化がない定積変化なので、仕事はゼロです。

B→Cの過程は体積が減る方向なので、気体が外部にした仕事はマイナスになります。その仕事を$W’$とすると、圧力は$p$で一定だから、

\[
W’=p(V-2V)=-pV
\]

です。ここで点Aの状態方程式を書いてみましょう。

\begin{align}
2p\times 2V&=nRT_A\\[6pt]
\therefore pV&=\dfrac{1}{4}nRT_A
\end{align}

です。これを$W’$に戻せば、

\[
W’=-\dfrac{1}{4}nRT_A
\]

となります。

正解:8

気体が外部にした仕事$W’$が問われています。体積が減るときは気体は外部から「仕事をされる」ので、$W’$はマイナスになります。

教科書や多くの問題集に掲載されている熱力学の第一法則の公式は、「気体が外部から受ける仕事を$W$とする」となっており、$Q+W=\Delta U$となっています。

「外部にした仕事なのか、外部から受けた仕事なのか」を意識して第一法則を使いましょう。

問2

A→Bの過程では体積が一定のまま圧力が下がっています。したがって温度も下がっているということがわかります。したがってA→Bは下の左の図のようです。

B→Cの過程では圧力が一定のままの変化です。ボイルシャルルの法則で圧力が一定である場合を考えれば、体積と温度が正比例することがわかります。すなわちB→Cの過程は温度-体積のグラフで原点を通る直線となります。ここでは体積が減少する方向なのでB→Cは上の右の図のようになります。

正解:2

問3

気体が外にした仕事は、変化の過程を表す曲線の下の面積で表されることがわかっています。

C→B→AとC→Aの違いは以下の図のようです。あきらかに$W_{II}>W_{I}$です。

また内部エネルギーは温度だけで決まります。いずれの過程もCからスタートしてAで終わっているので、途中の過程はともかく最終的な温度の変化は同じです。したがって、$\Delta U_I = \Delta U_{II}$です。

また、外部から気体に加えられた熱量Qは、熱力学の第一法則から考えます。

\[
Q=W+\Delta U
\]

いずれの過程も$\Delta U$が同じであることを考えれば、$W$の大小関係がそのまま$Q$の大小関係になっていることがわかります。ここでは過程IIにおける熱量の方が大きいということです。

正解:8

B

問4

周期と振幅をグラフから読み取る問題です。

問題文の図4を見ると、1周期は

$5.4-5.2=0.2$ s

であることがわかります。振動数は周期の逆数ですから、振動数$f$は

$f=\dfrac{1}{T}=5$ Hz

となります。

振幅もグラフから読み取ります。$y=0$を中心に上下に$\pm2$ cmですから、振幅は$2$ cmです。

正解:5

問5

波の重ね合わせの原理を「重ね合わせ前」と「重ね合わせ後」の差として読むのがポイントです。

  • 図4は振動子1だけ、図5は振動子1と2の両方を使ったものです。
  • したがって、図5から図4を引いたものが振動子2だけによるものです。

代表的な点として、$t=5.2, 5.25, 5.35$ sのところを選んでみましょう。

\[
\begin{cases}t=5.2\ \text{s:}\ 0-0=0\ \text{cm}\\
t=5.25\ \text{s:}\ -0.5-(-2)=+1.5\ \text{cm}\\
t=5.35\ \text{s:}\ +0.5-2=-1.5\ \text{cm}
\end{cases}
\]

このようになっているグラフを選びます。

正解:2

問6

難しい問題なので、物理全体として80%前後を目標とする場合は、この問題を飛ばしておくのも合理的な判断です。

問6に入る前の説明で「$f(t_{PA}-t_{PB})$が整数」という部分があります。問6を解くためにはこの部分を正しく理解していることが不可欠です。

Bの問題の最初のページ最下部に、$y_{PA}$のことが書かれています。これを使います。

点Pにおいて最も強めあうということは、AからPに届いた波の変位、およびBからPに届いた波の変位が同位相になっているということです。その判定には両者の位相差に注目すればよいです。

AからPに届いた波の変位、およびBからPに届いた波の変位はそれぞれ次のようにあらわされます。

\begin{align}
y_{PA}=a_{PA}\sin\{2\pi f(t-t_{PA})\}\\[6pt]
y_{PB}=a_{PB}\sin\{2\pi f(t-t_{PB})\}
\end{align}

$\sin$の中身を書きだすと以下のようです。

\begin{align}
2\pi f(t-t_{PA})\\[6pt]
2\pi f(t-t_{PB})
\end{align}

この両者の差が$2n\pi$なら同位相ということになります。そのことを考えるためBからの波の位相を次のように変形します。

\begin{align}
2\pi f(t-t_{PB})&=2\pi f t-2\pi f t_{PB}\\[6pt]
&=2\pi f t-2\pi f t_{PA}+2\pi f t_{PA}-2\pi f t_{PB}\\[6pt]
&=2\pi f(t-t_{PA})+2\pi f(t_{PA}-t_{PB})
\end{align}

このように変形したものが問題文に示されている式であり、右辺第2項が$2n\pi$であれば$y_{PA}$と$y_{PB}$が同位相であると言えます。すなわち、

\begin{align}
2\pi f(t_{PA}-t_{PB})=2n\pi\\[6pt]
\therefore f(t_{PA}-t_{PB})=n
\end{align}

であれば点Pが強めあうということです。問6の直前までの説明でまずここまでを把握しなければなりません。

ここから問6の本題に入ります。

いま$f=8$ Hzだから、解答の表の中から$f=8$としたとき$f(t_{PA}-t_{PB})$が整数になるようなものを選びます。この中からは$0.50$ sのみが該当します。このとき$n=8\times 0.5=4$となります。

また、波の伝わる速さを$v$とすると、

\begin{align}
t_{PA}=\dfrac{AP}{v}\\[6pt]
t_{PA}=\dfrac{AP}{v}
\end{align}

だから、

\begin{align}
f(t_{PA}-t_{PB})&=f(\dfrac{AP}{v}-\dfrac{BP}{v})\\[6pt]
&=n\\[6pt]
\therefore f(AP-BP)=v\times n
\end{align}

いま$v=4.0$ m/s、$n=4$、$f=8$ Hzだから、$AP-BP=2.0$ mと計算できます。

正解:5

この問題への対策

Aの熱力学の問題は標準的で取り組みやすい問題です。傍用問題集の基本問題を確実にマスターしていれば完答できます。

Bは特に問6が難問でした。$a_{PA}$やy_{PA}$が正確に何を表しているのかを理解し、問6の直前に書かれている「$f(t_{PA}-t_{PB})$が整数でなければならない」というのがどういう原理なのかを理解できないと、解答できないでしょう。

80%を目指す受験生であれば問6は捨ててもよいです。しかし90%以上を目指す受験生であればこの問題にも挑戦して原理を理解しておきましょう。さらに波の式の成り立ちや合成波への応用を扱った問題も演習をしておく必要があります。

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