比熱、熱容量などの基本的な用語の正確な理解、ジュール熱と温度変化の原理の正確な理解が問われています。
実験で温度の変化を測定しその結果から比熱を計算するという原理ですが、問5では理論値と実際の測定値の差に関する考察が問われておりやや難しくなっています。
問1
用語の正確な理解が必要です。
物体に「熱」を加えると、その物体の「温度」は上昇する。熱容量が大きい物体ほど、温まり「にくく」、冷め「にくい」。
となります。
熱容量というのは、その物体の温度を$1^\circ C$だけ上昇させるのに必要な熱量のことであり、熱容量が大きいということは、$1^\circ C$上げるのに大きい熱量が必要だということです。つまり温度は上昇しにくいということです。
正解:4
問2
抵抗で発生した熱量は、
$Q=RI^2\Delta t$
です。
またこの熱量により熱容量$C$の物体の温度が$\Delta T$だけ上昇したので、
$Q=C\Delta T$
が成り立ちます。これらを等値して、
\begin{align}
RI^2\Delta t&=C\Delta T\\
\therefore \quad \Delta T&=\dfrac{RI^2\Delta t}{C}
\end{align}
となります。
正解:3
問3
抵抗と電源が接続された回路になっています。
電流計は抵抗に直列に、電圧計は抵抗に並列に接続するので、以下のような図になります。

これを表している選択肢を選びます。
正解:2
問4
抵抗で発生した熱量$Q$は、電流$I$、電圧$V$、時間$\Delta t$とすると、
$Q=VI\Delta t$
で表されます。問題で与えられた数値を代入して、
$Q=3.00\times 1.40\times (360-60)=1260$ [J]
となります。
113 正解:6
また発生した熱量がすべて液体の温度上昇に使われるので、液体の質量$m$、比熱$c$、温度変化$\Delta T$とすると、
$Q=mc\Delta T$
が成り立ちます。各数値を代入して、
\begin{align}
1260&=300\times c\times (21.1-19.7)\\
\therefore \quad c&=\dfrac{1260}{300\times(21.1-19.7)}\\
&=3.0 \quad\text{[J/(gK)]}
\end{align}
となります。
114 正解:3
問5
問4で測定した熱量は、液体の温度上昇以外に、容器など周辺装置の温度上昇にも使われています。
つまり実際に液体の温度上昇に使われた熱量は問4の熱量より小さいということです。
少ない熱量で液体の温度を上昇させることができるはずだったのに、実験では大きな熱量を必要としているように見えていたということです。
したがって問4の実験の比熱は、液体の比熱より大きい数値になっていることになります。
そしてこの誤差を減らすためには、液体に伝わる熱量と周辺装置に伝わる熱量とを比べて、液体に伝わるものを大きくすれば、相対的にそれ以外の熱量の割合が小さくなります。
液体の量を増やせば全加熱量は増えますが、周辺装置の熱容量は変わらないので、加熱量のより大きい部分が液体の温度上昇に使われることになります。このようにして比熱の測定値$c$を正しい値に近づけることができます。
正解:1
この問題への対策
実験データ処理に関する設問は、自分でデータを取ってみた経験がないと難しいかもしれません。
この実験に限らず、学校で実験をやっているならそのときの手順やデータ処理の方法を見直しておきましょう。特に実験の誤差や測定誤差を小さくするための工夫、実験結果と理論値との差に関する考察は、どの実験でも必ず取り入れられています。具体的な実験手順と合わせて確認しておきましょう。



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